呼物よびもの)” の例文
美術館ピナコテカでは沢山たくさんあるリユニイの絵を面白いと思つた。ラフワエルの「処女のマリア」は呼物よびものであるにかゝはらず芝居がゝつた有難くない絵であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
実はあのほうを、東京のかたがなさる別荘を真似まねて造ったでありますが、主人が交際つきあいずきでしきりと客をしまするところ、いずれ海が、何よりの呼物よびものでありますに。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それにつき鴎外の性格の一面をうかがうに足る一挿話がある。或る年の『国民新聞』に文壇逸話と題した文壇の楽屋ばなしが毎日連載されてかなりな呼物よびものとなった事があった。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
湊屋にみなという娘がいた。このみいちゃんは美しいので、茶屋の呼物よびものになっていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ことに『都之花』の巻頭の呼物よびものとなった「花車はなぐるま」は愚作であると思った。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)