台尻だいじり)” の例文
二人の壮士はかおを見合せました。それは彼等を気にさせるのも道理で、その物音は能登守が鉄砲の台尻だいじりを板の間に軽く落した物音でありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
毛皮を頭からかぶった真先まっさきにとんできた人間が、銃の台尻だいじりで熊の尻ぺたをひっぱたいて、嬉しそうに叫んだ。その声は、丁坊をたいそうおどろかせた。
大空魔艦 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼らは叫びながら、胸を垣のように連ねて機械の間を押して来た。場内の工人たちは押し出された。印度人の警官隊は、銃の台尻だいじりを振り上げて押し返した。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
左様そうです。つな、るな、貴下あなたひどいことをするぢやあありませんか。三日もめしを喰はさないで眼もくらむでゐるものを、赤條々はだかにして木の枝へつるし上げてな、銃の台尻だいじりで以てなぐるです。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
銃身はさびだらけで、銃機はおちかかり、台尻だいじりは虫にくわれている。
銃の台尻だいじりの一打ぐらゐは平気です。
熊捕り競争 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)