受答うけこたえ)” の例文
主人の中老人は、なかなかの弁舌で、昔は相当以上の身分のものらしく、文武両道の話など、五人の客も屡々しばしば受答うけこたえに困るほどです。
千代子はもとより誰彼の容赦なく一様に気易きやすく応対のできる女だったので、御嬢様と呼びかけられるたびに相当の受答うけこたえをして話をはずました。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お玉は手持不沙汰なように、不断自分のいる所にいて、火鉢のへりでたり、火箸ひばしをいじったりしながら、恥かしげに、詞数ことばかず少く受答うけこたえをしている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
死ぬることのある人間に、そんな力が授けてなくて為合しあわせだ。無邪気に受答うけこたえをしている相手を、粉微塵にでもしようと云うのは、チランノスの流義だ。
それから彼女は種々な世間話をしたが、私はただいい加減に受答うけこたえをしてなるべく話を英子の方へ外らしてしまった。
運命のままに (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
わたくしはただ大体だけの受答うけこたえをしましたが、それでも、父は満足して別れました
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし僕の方はそれに対して相当な挨拶あいさつをする必要があるので、話の済む前には、僕は当然同行者の一人いちにんとして受答うけこたえをするようになっていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)