叔父しゅくふ)” の例文
永楽帝既に崩じ、建文帝なおり、帝と史彬しひん客舎かくしゃあいい、老実貞良の忠臣の口より、簒国奪位さんこくだつい叔父しゅくふの死を聞く。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
亡父君ちちぎみのご遺言とはあるが、江夏には兄上がいるし、新野には外戚がいせき叔父しゅくふ劉玄徳りゅうげんとくがいる。もしこのかみ叔父しゅくふがお怒りの兵を挙げて、罪を問うてきたら何とするぞ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから居士の母堂を伴って碧梧桐君が東京より来、大原氏——居士の叔父しゅくふ——が松山より見えるようになった頃は居士の病気もだんだんといい方に向っていた。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
方孝孺に語りたまわく、燕王は孝康こうこう皇帝同産どうさんの弟なり、ちん叔父しゅくふなり、われ他日宗廟そうびょう神霊にまみえざらんやと。孝孺曰く、兵一たび散すれば、急にあつむ可からず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
叔父しゅくふの将軍には、曹操の兇刃に害され給い、お子達二人も、ほかご一族、家中の者、老幼のはしにいたるまで八百余人、残らず一つ邸のうちにあって火をかけられ、あらかたは殺され
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
されども諸王は積年の威をはさみ、大封のいきおいり、かつ叔父しゅくふの尊きをもって、不遜ふそんの事の多かりければ、皇太孫は如何いかばかり心苦しくいとわしく思いしみたりけむ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)