双手そうしゅ)” の例文
旧字:雙手
近日S市に帰って永住の計を定めるとの事故ことゆえ、知ると知らざるとを問わず、交際社会の人々は双手そうしゅを上げてこの大成功者を歓迎することであろう
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そののち五百は折々ほうき塵払ちりはらいを結び附けて、双手そうしゅの如くにし、これに衣服をまとって壁に立て掛け、さてこれをいきおいをなして、「おのれ、母のかたき、思い知ったか」
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
演奏会は数千の人を集めて、数千の人はことごとく双手そうしゅげながらこの二人を歓迎している。同じ数千の人はことごとく五はじいて、われ一人を排斥している。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一同は不意を喰って驚きはしたが、双手そうしゅぐに挙げることには躊躇ちゅうちょしなかった。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)