千載一遇せんざいいちぐう)” の例文
帆村たち十名が本艇へたどりついて、テッド隊長に報告をはじめ、それがまだおわらないうちに、とつぜん千載一遇せんざいいちぐうの機会がやってきた。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
気をきかしたつもりで莫迦ばかなことをしたもので、あとから種々の点を綜合してみると、この壁の文字こそは、それこそ千載一遇せんざいいちぐうの好材料だったのだ。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
吾ながら、腑甲斐ふがいなしとは思うが、ここ千載一遇せんざいいちぐうの大事と思えば、新九郎の五体はおのずからブルッとふるえてやまぬ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
航空研究所や地震研究所での活溌かっぱつな研究生活もまだ始まらない前で、私は随分忙しい思いもした。しかし千載一遇せんざいいちぐうの良い訓練を受けることが出来たのであった。
「相沢様が御墨付を受取りに行った時、千載一遇せんざいいちぐうの思いだったろう。お前は前の晩用意をしろと言い付けられると、早速青竹を切って来て水鉄砲をこさえた、これだよ」
平生へいぜい政見を異にした政治家も志を一にしてこうに奉じ、金を守るにもっぱらなる資本家も喜んで軍事公債に応じ、挙国一致、千載一遇せんざいいちぐうの壮挙は着々として実行されている。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
だがこのわれわれにとって千載一遇せんざいいちぐうの非常の時機に際して、あなたの一身の安全をはかるよりほかに、われわれのためにあえてしていただくことは願えないものであろうか。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
廟堂にずらり頭をならべている連中には唯一人の帝王の師たる者もなく、誰一人面を冒して進言する忠臣もなく、あたら君徳を輔佐して陛下を堯舜に致すべき千載一遇せんざいいちぐうの大切なる機会を見す見す看過し
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
わけて天皇の笠置潜幸かさぎせんこうという冒険には、理も非もなく、千載一遇せんざいいちぐう騎虎きこをそれにはやりきッている。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「一度死ねば、二度と死にませんよ。ゆるゆるとこの千載一遇せんざいいちぐうの壮観を見物しておくのですな」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だから彼らの貧土には、この大乱もまったくちがう意味の千載一遇せんざいいちぐううつっていた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
千載一遇せんざいいちぐう、この時潮に乗りおくれては——と、錦旗をのぞんで来たものだろう。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)