十拳とつか)” の例文
伊弉諾神いざなぎのかみは、そのあとで、さっそく十拳とつかつるぎという長い剣を引きぬいて、女神のわざわいのもとになった火の神を、一うちにり殺してしまいになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ここに速須佐の男の命、その御佩みはかし十拳とつかの劒を拔きて、その蛇を切りはふりたまひしかば、の河血にりて流れき。かれその中の尾を切りたまふ時に、御刀みはかしの刃けき。
神はそれをご覧になると、あわてて十拳とつかつるぎを抜きはなして、それでもってうしろをぐんぐん切りまわしながら、それこそいっしょうけんめいにお遁げになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かれここにおのもおのも天の安の河を中に置きてうけふ時に、天照らす大御神まづ建速須佐の男の命のかせる十拳とつかつるぎを乞ひわたして、三段みきだに打ち折りて、ぬなとももゆらに一〇
そしてまず女神めがみが、いちばん先に、みこと十拳とつかつるぎをお取りになって、それを三つに折って、天真名井あめのまないという井戸で洗って、がりがりとおかみになり、ふっときりをお吹きになりますと
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ここに御佩みはかし十拳とつかの劒を拔きて、後手しりへできつつ逃げ來ませるを、なほ追ひて黄泉比良坂よもつひらさか一八の坂本に到る時に、その坂本なるもも三つをとりて持ち撃ちたまひしかば、悉に逃げ返りき。