北風ほくふう)” の例文
ちょうど生きた人魂ひとだまだね。て門を這入ってみると北風ほくふう枯梢こしょう悲断ひだんして寒庭かんていなげうち、柱傾き瓦落ちて流熒りゅうけいいたむという、散々な有様だ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これや北風ほくふうに一輪つよきを誇る梅花にあらず、またかすみの春に蝴蝶こちょうと化けて飛ぶ桜の花にもあらで、夏の夕やみにほのかににおう月見草、と品定めもしつべき婦人。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
かん桓帝くわんていとき劉褒りうはう雲漢うんかんゑがく、るものしよおぼゆ。また北風ほくふうゑがく、るものかんおぼゆ。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
胡場こば北風ほくふういなゝき、越鳥ゑつてう南枝なんしくふ、故郷こきやうわすれがたきは世界の人情にんじやう也。
北風ほくふう南波なんぱ
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)