勇悍ゆうかん)” の例文
『和漢三才図会』に蝮甚だ勇悍ゆうかんなり、農夫これを見付けて殺そうにも刀杖の持ち合せない時、これに向って汝は卑怯者だ逃げ去る事はならぬぞといい置き
などと言いながら、茶碗によそって、おんなたちは露地へ廻る。これがこのうえおくれると、勇悍ゆうかんなのが一羽押寄おしよせる。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
平気でそこに移り住んで、奴僕しもべどもはみな門外に眠らせ、自分は一人の下役人と共に座敷のまん中に陣取っていた。下役人は勇悍ゆうかんにして弓をくする者であった。
たゞ伊勢太神宮の御屯倉みやけを預かつて相馬御厨みくりやつかさであるに過ぎぬのであるに、父の余威をるとは言へ、多勢の敵に対抗して居られるといふものは、勇悍ゆうかんである故のみでは無い
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
野心ともいえないほどの野心——もう一ついいゆれば、葉子の記憶に親切な男として、勇悍ゆうかんな男として、美貌びぼうな男として残りたいというほどな野心——に絶望の断定を与える事によって
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
市民の黙止もくし難き推戴に依って遂に王位に即いたが、勇悍ゆうかんにして粗野なる人民を統御するには、信仰と法制との力に依らねばならぬとは、彼がはやくより気附いたところであって、彼はその守成策として
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
我部隊が勇悍ゆうかんに闘っているのを御覧なさい。10360