利三としみつ)” の例文
この際にも、正しく事態を直観していた者は、かの老将斎藤利三としみつであった。そして光秀が逡巡しゅんじゅんなお決しかねている進退にたいしても
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
斎藤内蔵助は名を利三としみつといって、美濃の国曾根そねの城主、稲葉一鉄いなばいってつとは婿むこしゅうとのあいだがらにあったが、訳あって稲葉家を去り、当時浪人の身の上であった。
蒲生鶴千代 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
戦場に立てば、驍名ぎょうめい敵を畏怖いふせしめるに足る猛将利三としみつが、小姓の手もからず、光秀の小袖からはかまをはく手助けまでしているのだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、内蔵助利三としみつは、一同の悲涙と無念とを、血の誓約へ、一つに結びつけるため、突として、こう提言した。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
並河掃部かもん。進士作左衛門、妻木主計かずえなどである。最後に光秀は、老臣斎藤利三としみつ、一族の光春、光忠、光秋などと一緒にすがたをあらわし、中央の床几にった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ほらみねを降って、淀方面からお味方の左翼を強襲しに出て来たため、さしもの斎藤利三としみつどのを始め、お味方の諸隊も、踏みこたえる力も尽き、総くずれになったものと
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すこし後から斎藤利三としみつがそこの柴折門しおりもんから出て行ったとき、もう息子も友松もいなかった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十七日には、ここへまた、明智方の老臣斎藤内蔵助利三としみつが、捕われて引かれて来た。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「初めに、小栗栖おぐるすの里で百姓たちに討たれた光秀どののさらし首が、一夜、何者かに盗み去られました。また幾日かおいて、明智衆の老将、斎藤内蔵助利三としみつどののさらし首がまたくなった。京の騒ぎはえらかったですよ。はははは」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)