切崩きりくず)” の例文
彼奴きゃつたむろさぬうち、切崩きりくずさば、何の一溜ひとたまりもあるべき。天下の雌雄しゆうを決し、われらが大志を果すとき、この節到来。今ぞ到来ぞや。——怠るな各〻
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その次に車の止まったのは、切崩きりくずした山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳呑児ちのみごをおぶったかみさんを相手に、悠悠ゆうゆうと茶などを飲み始めた。
トロッコ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
く二葉亭は八門遁甲とんこうというような何処どこから切込んでも切崩きりくずす事の出来ない論陣を張って、時々奇兵を放っては対手あいてらしたり悩ましたりする擒縦きんしょう殺活自在の思弁にすこぶる長じていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)