内陣ないぢん)” の例文
其れからたヽみの破れを新聞で張つた、はしらゆがんだ居間ゐまを二つとほつて、横手の光琳の梅を書いたふるぼけた大きい襖子ふすまを開けると十畳敷許の内陣ないぢん
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
今死んでも用意が出來てゐるだらうか? またゲィツヘッド教會の内陣ないぢんの下の納棺所なふくわんじよは、私にとつて樂しい目的地であらうか? その納棺所に、リード氏が埋葬されてゐると聞いてゐる。
空色そらいろしづむ内陣ないぢんの闇ほのぐらき静寂せいじやく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其処そこは雨がひどく洩るので、四方の戸を阿父おとうさんが釘附くぎづけにして自分の生れ無い前から開けぬ事に成つて居る。御参詣おまゐりの人も無い寺なので、内の者は内陣ないぢんで本尊様を拝む。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
不断ふだんくゆり、内陣ないぢんたふとさ深さ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
兄のにらむのも見返みかへらずに、貢さんは蝋燭と庖丁とを持つて内陣ないぢんぶ様にあがつて行つた。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)