八咫やた)” の例文
その形状のごときも地図に書かれてあるのは変な具合になって居りますが、今私のいった通りにちょうど八咫やたの鏡がうねくって蓮華れんげの形のようになって居るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
八尺やさか曲玉まがたまという、それはそれはごりっぱなお首飾くびかざりの玉と、八咫やたかがみという神々こうごうしいお鏡と、かねて須佐之男命すさのおのみことが大じゃの尾の中からお拾いになった、鋭い御剣みつるぎ
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
神武天皇が熊野から八咫やたの烏の先導で吉野にかかったとき、尾のある人間が井戸の中から出てきて、その井戸が光った。お前は誰だと問うたら、国ツ神で名を氷鹿ひかという者だと答えた。
天孫降下の間先駆者還ってもうさく、一神あり天の八衢やちまたにおり、その鼻長さ七せき、背長さ七尺余(まさに七ひろと言うべし)、かつ口尻明耀めいよう、眼八咫やたの鏡のごとくにして赩然、赤酸醤に似たりとありて
それから一方では、安河やすのかわの河上からかたい岩をはこんで来て、それを鉄床てつどこにして、八咫やたかがみというりっぱな鏡を作らせ、八尺やさか曲玉まがたまというりっぱな玉で胸飾むなかざりを作らせました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
池の形は八葉蓮華はちようれんげの花の開いたごとく八咫やたの鏡のうねうねとうねって居るがごとく、そうして湖中の水は澄み返って空の碧々へきへきたる色と相映じ全く浄玻璃じょうはりのごとき光を放って居る。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そして、天香具山あめのかぐやまという山からさかきを根きにして来て、その上の方のえだへ、八尺やさか曲玉まがたまをつけ、中ほどの枝へ八咫やたかがみをかけ、下の枝へは、白や青のきれをつりさげました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
あづまなる八咫やたの鏡を雪山ゆきやま阿耨達池アノクタいけに見るは嬉しも
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)