全豹ぜんぴょう)” の例文
いずれにしても、そういう見地に立ってでなければいくら研究してみてもこれらの問題の全豹ぜんぴょうは明らかになりそうに思われない。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
合理説が道徳法の一般性を明にし、義務を厳粛ならしめんとするは可なれども、これを以て道徳の全豹ぜんぴょうを説き得たるものとなすことはできぬ。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
 の如き巧拙は異なれどもその意匠の総て諧謔に傾き頓智とんちによる処ことごとく相似たり。以て全豹ぜんぴょうすべし。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これを取ってクーレンカンプの全豹ぜんぴょうそうするのは少しく早計であり、その後
今日こんにち浮世絵の研究は米国人フェノロサその他新進の鑑賞家出でて細大もらす処なく完了せられたるののちさかのぼつてゴンクウルの所論をうかがへば往々おうおう全豹ぜんぴょうを見ずして一斑いっぱん拘泥こうでいしたるのそしりを免れざるべし。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
一斑いっぱん推して全豹ぜんぴょうを知るべし。之が新政府下のサモアなのだ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
偽醜悪はいつも抽象的に物の一面を見て全豹ぜんぴょうを知らず
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)