入口はいりぐち)” の例文
や、梅岡さんの方がさきへ行ったそうでがす。あの石段の上の床几しょうぎ入口はいりぐちのね、あすこだ。毛氈もうせんを敷いて出してあるのに腰をかけて、待合わしていたんでがすな。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あまはげしい往来中わうらいなかではいかず、とつて衆人ひとに立たぬければ不可いかぬから、入口はいりぐち横町よこちやうけ、おもてはうは三四けんの所をこまかい格子作かうしづくりこしらへ、往来おもてはう看板かんばんけました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
今来た入口はいりぐちに、下駄屋と駄菓子屋が向合って、駄菓子屋に、ふかし芋と、でた豌豆えんどうを売るのも、下駄屋の前ならびに、子供のはきものの目立ってあかいのも、ものわびしい。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)