さっ)” の例文
「つまりね。さっき云った六つの解釈の内第三と第六とが当っているんだ。云い換えると書生の牧田と賊とが同一人物だったのさ」
黒手組 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
時は五時に間もないので思い切ってさっき見た小屋に泊り、明日大峠を越えて白井差に行こうと思案して、元の路を引き返して小屋に着いたのは六時少し過ぎであった。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
山口は早くお杉を見に行こうと急に思い立つと、立ちどまって顔を上げた。すると、たちまち、もうさっきから、街の隅々から彼の挙動をうかがっていた車夫の群が、殺到して来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「だからさっきから頭を下げているんです」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夫ではさっき立ち消えになった火の正体のぬしは、其うちの一つであったかも知れぬ。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)