先駆せんく)” の例文
旧字:先驅
もちろん、足利がたの浜の手、少弐頼尚しょうによりひさの一軍は、すでに駒ヶ林へその先駆せんくを突ッかけて来、直義ただよしの本軍も、西国街道を、驀進ばくしんしていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「北条氏、北条氏、貴殿には望東尼様を警護されて、ゆるゆる後からおいでくだされ。……重助おいで、わしと先駆せんくじゃ」
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
西洋心酔時代の先駆せんくをなしたものであった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
春の先駆せんく
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すでにかくの如く、ご面前において、お味方の先駆せんくを誓うておるのですから、それらの群敵も、何かあらんと、申し上げても広言ではございません。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と——いうも迂遠うえんな話で、すでに最前さいぜんから小屋の外には、おびただしい人の足音が、なにかヒソヒソささやきながらあらし先駆せんくのごとく、ひそかにめぐりめぐっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和田呂宋兵衛わだるそんべえがさかよせをしてきたか、膳所ぜぜの城にある徳川方とくがわがたの武士がきたかと、身がまえをしていると、やがて、炬火きょか先駆せんくとなって、こまをとばしてきた一の武者。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜のとばりの迫るとともに、嵐の先駆せんくらしい風が、そよそよと草をでてきた模様に、一八郎は、わが子を待つような、心配と焦躁しょうそうにかられつつ、空ばかり気にして眺めた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中国の戦いに先駆せんくして、織田勢の至難な先鋒をつとめていたにかかわらず、ひとたび毛利の大軍が、その孤塁をつつむや、信長の令は、前後の懸引かけひきと利害の大小をにらみあわせて
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水野忠重の四千余が、先駆せんくして、柏井村から小幡城おばたじょうへいそいだ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その革新かくしん勢力の先駆せんくをなして行ったものであることを。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先駆せんく——旗本——近習のなかに、秀吉の馬が通った。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先駆せんく一帆いっぱん
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)