先達せんだち)” の例文
一四一かれ善果ぜんくわもとづきて遷化せんげせしとならば、一四二道に先達せんだちの師ともいふべし。又活きてあるときは一四三我がために一個ひとり徒弟とていなり。
それに先達せんだちの話では、都はこゝから僅かに二里の道のりで、朝早く山を下れば、晝少し過ぎには帰って来られると聞いて居る。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
たまには見る/\先達せんだちの唇が腫上はれあがるやうな毒草にも出会でくはしたが、仲間は滅多に閉口しなかつた。
やがて、兵士たちのざわめきが次第に二人の方へ近寄って来ると、その先達せんだちの松明の後から、馬の上で一人の動かぬ美女を抱きかかえた長羅ながらの姿が眼についた。訶和郎は剣を抜いて飛び出ようとした。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
バウボのおば御に先達せんだちを頼もう。3965
上人を始め多くの先達せんだちの話に依れば、此のけがらわしい世の中で、西方浄土の俤を僅かに伝へて居るところは、自分たちの居る山だけだそうである。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
先達せんだちは仲間を懲らさうとして、わざと名も知らぬ草の葉に手をつけるが、それがどんな変てこな草だらうが、先達が食つたとあれば、仲間はいやでもそれを口にしなければならぬ。
まろも先達せんだち方々かた/″\から、そなたはまるで女子おなごのようだと、たび/\からかわれた覚えがある。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
で、ものの五丁も歩くと、今度は先達せんだちを代へて、また同じやうな事を繰返すのだ。の悪い日になると夕方家に帰る頃には、皆の両唇がむくみ上つてろくに物も言へなくなつたやうな事さへあつた。
なれ時世ときよ先達せんだち
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)