かしづ)” の例文
そしていくら遅くなつてもかまはず、優しくかしづくんだ。そして愛情を起させるやうに女の方からしむけて行けば、柔よく剛を制すの道理だからね。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
私もまたこの小さな國の老侯のやうに敬はれ、かしづかれ、慕はれて、餘生を讀書三昧に耽つた外祖業隆なりたか翁の眞白な長髯のなつかしさを忘るる事が出來ぬ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
『そもさん。』ういふ熱心は、やうやく三回目に、恵端の為に認められたといふ。それから朝夕師としてかしづいて居たが、さてしまひには、白隠も問答に究してしまつた。究するといふよりは、絶望して了つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わがかしづまも
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かしづかれ、慕はれて、余生を読書三昧に耽つた外祖業隆なりたか翁の真白な長髯の家で生れて——明治十八年一月二十五日——然る後古めかしい黒塗の駕籠に乗つて、まだ若い母上と柳河に帰つた。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)