佳酒かしゅ)” の例文
あした美姫びきの肩の柳絮りゅうじょを払い、ゆうべに佳酒かしゅ瑠璃杯るりはいに盛って管絃に酔う耳や眼をもっては、忠臣の諫言は余りにもただ苦い気がした。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主人の留守ちゅうであるが、そのまま帰るわけにもゆかないので、ゆっくりあがって遊んでいくことになった。やがて晩餐ばんさんが出る。卓上には、美味と佳酒かしゅと伯爵夫人の愛嬌あいきょうとがある。葡萄ぶどう酒と火酒ウォッカだ。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
朝暮の佳酒かしゅ珍膳など、もちろんのことだが、信長が家康にうけてもらいたいものは、やはり市井人の長屋交際とか、田舎人いなかじんの炉辺の馳走とも違わない
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
という顔して、珍味ちんみ佳酒かしゅのまえに、泰然たいぜんとしているのは辛いだろう。武士は食わねどというが——また、これもきょうの和睦わぼくの交渉に強味をもつひとつの兵法とはいいながら。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天子が、それがしを、ご陣中へお遣わしなされたのは、何の異変も都にあるわけでなく、夷蛮えびすの熱地を征く将士の労をおしのび遊ばされ、成都の佳酒かしゅ百駄を軍へご下賜あらせられました。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)