もの)” の例文
彼女の研究は、古楽こがくに、洋楽に、学問の方もますます深まっているようだった。何か素晴しいものを与えて、彼女の沈みきった心のきたてなければならない——
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
みのるがそれ迄に少しづゝ書き溜めておいたもののある事を知つてゐた義男は、それにこの規程きていの分だけを書き足して送つた方が好いと云つてみのるに勸めたのであつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
あたしはこの山住みで、小さなものを投書して特賞を得たりしたが、これは実力がどの位な辺かという試しにしたことで、これならなぞというたかぶった気持ちではすこしもなかった。
そんなことでか、もしくは、この弟子が、すこしばかり音曲おんぎょくを解するので、教えておいてくださろうとの御志であったのであろうが、御自分のものふしがつきふりがつくとよく御案内くださった。
古い暦:私と坪内先生 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
当時の生活描写を仔細しさいにとり入れて書いたものさえある我国である。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)