余地よち)” の例文
旧字:餘地
見ると、岩をけずって、数行すうぎょうの文字が小柄こづかりのこされてある。それは、うたがう余地よちもなく、果心居士かしんこじらしい枯淡こたんひっせきで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうきけば、もうペスのかえってきたのに、うたが余地よちがなかったのです。しょうちゃんは、はしって、いえへもどると、そのはなしたっちゃんにしたのです。
ペスをさがしに (新字新仮名) / 小川未明(著)
ドリスコルがわたしの父親だということは、もはやうたが余地よちなく証明しょうめいされた。わたしはそれをマチアと同じ立場からながめることができなかった。
垣をこしますと、まずはまべをさがしていきました。そこは、だんだん広くなっていて、はたけ牧場まきば農場のうじょうをつくろうと思えばつくれるだけの余地よちは十分にありました。
しかも、もしベアトリーチェがわずか二、三歩を離れたところに、新しい生きいきとした花を手にして現われたのを見たとすれば、もはやその上に疑いをいれる余地よちはなくなるであろう。
どうして教育や宗教などを考うる余地よちがあろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いくらも空想くうそう余地よちあるおもしろみが、だんだんわかってきました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)