仙洞御所せんとうごしょ)” の例文
しかしそれらのなかで最も深く教授を感激させたのは、京都の仙洞御所せんとうごしょのなかで清涼殿せいりょうでんの前庭をかこんだ一帯の風趣であったのです。
「駈けるぞ」一鞭ひとむちあてると、箭四郎は坂道にとり残された。やっと、追いついてみると、もう仙洞御所せんとうごしょの東門に、主人の姿はそこになかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仙洞御所せんとうごしょの出火のうわさ、その火は西陣にしじんまでの町通りを焼き尽くして天明年度の大火よりも大変だといううわさが、京都方面から伝わって来たのもそのころだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それから二十年の間、皇后の特別な愛着がこの寺に集まった。従って尼寺と後宮との交渉が多く、後には孝謙上皇こうけんじょうこうが住まれて仙洞御所せんとうごしょのようになったこともあった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
建久九年に土御門天皇が受禅じゅぜんされると、通親は外舅がいきゅうとして勢力を得、内大臣に昇り、後鳥羽上皇の院別当いんべっとうとなって仙洞御所せんとうごしょの実権を握り、卿二品きょうにほんという女傑と結んでまつりごとを左右する。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
そこの仙洞御所せんとうごしょと、清盛のいる西八条のやかたとは、目と鼻の先だった。物々しい弓馬のうごきは、すぐ六波羅の御家人ごけにんから
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さては仙洞御所せんとうごしょの出火までも引き合いに出して、この異変を何かの前兆に結びつけるものもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そこへ召された安倍資成あべのすけなりは、二十騎ばかりをれて、仙洞御所せんとうごしょへ、急使として駈けて行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仙洞御所せんとうごしょの造営にもかかわったことがあるし、後西院天皇の御譲位ごじょういにも、父の義冬よしふゆとともに朝幕のあいだに働き、また践祚せんそ賀使がしにも立ったりして、六十歳の今日にいたるまで
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この鞠ぬすみは伊賀流いがりゅう甲賀流こうがりゅうのものが、かつて信長のぶなが在世ざいせい当時、安土城あづちじょうで試合をしたこともあるし、それよりいぜんには、仙洞御所せんとうごしょのお庭さきで月卿雲客げっけいうんかくの前で、叡覧えいらんきょうしたこともあって
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)