仕丁じちょう)” の例文
すでに儀仗ぎじょう旗手きしゅもできあがり、献納燈籠どうろうを入れた螺鈿らでんの塗り箱をかつぐ仕丁じちょうの役割もすべてきまる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
緋羅紗ひらしゃを掛けた床の雛段には、浅草の観音堂のような紫宸殿ししいでんいらかが聳え、内裏様だいりさまや五にんばやしや官女が殿中に列んで、左近さこんの桜右近うこんの橘の下には、三人上戸じょうご仕丁じちょうが酒をあたゝめて居る。
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
手水ちょうずを使うにも半挿盥はんぞうだらいを用うることはなく、寝殿の日隠ひがくしの間に棚を作らせて、小桶に小さい柄杓ひしゃくをつけておき、毎朝仕丁じちょうがそれに湯を入れるだけで、手を洗う時は自ら水をかけに行くようにし
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この呉用も宋江も、もちろん、大臣の近侍に姿を変えており、あたりの武官、警固の兵、献納燈籠どうろうをかついでいる仕丁じちょう、小者の端まで、すべてお互い常に見ている顔ばかりだったのはいうまでもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)