人声ひとごゑ)” の例文
旧字:人聲
三四郎はそれなり寐付ねついた。運命も与次郎も手をくだし様のない位すこやかなねむりに入つた。すると半鐘のおとで眼がめた。何所どこかで人声ひとごゑがする。東京の火事は是で二返目である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長吉ちやうきちは覚えずあとを追つて路地内ろぢうち這入はいらうとしたが、同時に一番近くの格子戸かうしど人声ひとごゑと共にいて、細長い弓張提灯ゆみはりぢやうちんを持つた男が出て来たので、なんふ事なく長吉は気後きおくれのしたばかりか
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
暫時人声ひとごゑなし。松風の音 こうこう。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)