人力じんりょく)” の例文
細工に落ちるというが、ぼくのやる事は自然の手順が狂わないようにあらかじめ人力じんりょくで装置するだけだ。自然にそむいた没分暁ぼつぶんぎょうの事を
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
例えば他人ひとから預っておいた彫刻品が、気候のめに欠損きずが出来たとかいう様な、人力じんりょくでは、如何どうにも致方しかたの無い事が起るのである、このはなしをすると
頭上の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
「ナニ、ウラゴーゴル星が、地球を引き寄せたというのですか。ウフフ、それはどうも、大胆すぎる。遊星の運動は、人力じんりょくではどうすることもできない」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「このたびの大捷は、すべて人力じんりょくとは思えません。今となってみると、ただただ神の御加護という気がします」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「すると、何者がこんなことをしたか、扉をあのように曲げることも、ふつうの人力じんりょくではできません」
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すでにおいのちのないものなら、まことにご武運のすえ、また人力じんりょくのおよぶところではござりませぬが、ただいま、大九郎の話によれば、まだご尊体そんたいにはなんのご異状いじょうなく、明朝
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とても人力じんりょくによってふせぎ切れるものでないことを見てとると、艇員たち全部の退避をすすめた。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼は二時間あまりも改札口で待ちぼうけをくわされたであろう。駄目と分って、彼は大憤慨だいふんがいていでそこを出たが、なにぶんにも天災地変のことであり、人力じんりょくではどうすることもできなかった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「天然の星ではなく、人力じんりょくというか何というか、とにかく現にこの怪星に住んでいる智能のすぐれた生物が、——あえて生物という、人間だとはいわないよ——その生物がこしらえたものじゃないかと思う」
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)