二俣ふたまた)” の例文
而して後、第二旅団の全部と、第一旅団の一部を本軍として、正面から攻撃することになり、第一旅団の残部は二俣ふたまたを目指すことになった。
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「今しがた二俣ふたまた城へまいった物見(斥候せっこう)がかえり、二俣もついに落城、甲州こうしゅう勢はいっきにこの浜松はままつへおし寄せまいるとのことでござります」
死処 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かくてその御子をお連れ申し上げて遊ぶ有樣は、尾張の相津にあつた二俣ふたまたの杉をもつて二俣の小舟を作つて、持ち上つて來て、大和の市師いちしの池、かるの池に浮べて遊びました。
すなわち海岸に沿うてぎ廻る船から見れば、二つの丘陵の尾崎が併行して海に突き出している所あたかも二俣ふたまた大根などのごとく、その二丘陵の間からは必ず小川が流れ込み
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
二俣ふたまたの奥、戸室とむろふもと、岩で城をいた山寺に、兇賊きょうぞくこもると知れて、まだ邏卒らそつといった時分、捕方とりかた多人数たにんず隠家かくれがを取巻いた時、表門の真只中まっただなかへ、その親仁おやじだと言います、六尺一つの丸裸体まるはだか
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二俣ふたまたという処で川と別れ、東海道の掛川へぬけたが、七日間ぶっとおしの旅でさすがに疲れたし、府中まではあと十里余りなので、掛川の宿で一日からだを休めた。
雨の山吹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)