予測よそく)” の例文
しかし神ならぬ身の知るよしもがなで、出発前の玉太郎にはそれを予測よそくする力のなかったのもいたし方のないことだ。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まさに大雨を下さんとす、明夜尚一回露宿ろしゆくをなさざれば人家ある所にいたるをず、あます所の二日間尚如何なる艱楚かんそめざるべからざるや、ほとん予測よそくするを得ず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
はたしてどんな駈引かけひきのもとに、目まぐるしい三つどもえの戦法がおこなわれるか、風雲の急なるほど、裾野のなりゆきは、いよいよ予測よそくすべからざるものとなった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たがいは、それで世に勝とうとしている。勝てるか勝てないかは、むろん予測よそくできない。しかし、それで勝とうとする意志だけは失ってはならないんだ。やはり事上錬磨だよ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
織田軍もこれは予測よそくせぬところだったので、今し方、新七がこれへ宙を飛んで来る途中では、なお事の不意に狼狽ろうばいして、一兵も城には取っかかっていない様子であったという。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう新春を迎えようとは、親鸞をはじめ、誰も予測よそくしていない年であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)