亀鑑てほん)” の例文
旧字:龜鑑
「ほんとだとも、だから、人の亀鑑てほんになる家のおかみさんが、男をこしらえるなんて、ふざけてる、追んだしてしまえと云ってるのだよ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
常に正々堂々として世の亀鑑てほんとなり、しかもその勇気は、撓まず滅せず、いやさらに燃えさかるのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ホホハハハ。なかなかの面魂じゃ。近頃流行はやりの腰抜けづらとは違うわい。ヨイじゃ、ヨイ児じゃ。近う参いれ。モソッと寄りゃれ。小粒ながら黒田武士の亀鑑てほんじゃ。ハハハ……」
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これなどは、むしろわたくしどもの亀鑑てほんかとぞんじます。
「そうだ種だ、種があがっておる、鮫洲さめず大尽だいじんと云や、人に知られた家で、人の亀鑑てほんになる家だ、その家が紊乱さしては、けしからんじゃないか」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「そうか、奉公人として、きさまがそう云うのは、もっとものことだ、奉公人としては、主人のためにそうしなくてはならんが、いやしくも人の亀鑑てほんになる家のことだ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)