乳屋ちちや)” の例文
別荘へは長男かしらわらべが朝夕二度の牛乳ちちを運べば、青年わかものいつしかこの童と親しみ、その後は乳屋ちちや主人あるじとも微笑ほほえみて物語するようになりぬ。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
葬式の五日目に、話題に上った上祖師ヶ谷の行衛不明の兵士の消息を乳屋ちちやが告げた。兵士の彦さんは縊死いっししたのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
深川の乳屋ちちやも知ってる人と見え、やあとあいさつして遠慮えんりょもなくあがってきた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
雪で、今日は新聞がぬ。朝は乳屋ちちや、午後は七十近い郵便ゆうびん配達はいたつじいさんが来たばかり。明日あす餅搗もちつきを頼んだので、隣の主人あるじ糯米もちごめを取りに来た。其ついでに、かし立ての甘藷さつまいもを二本鶴子にれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)