乍憚はばかりながら)” の例文
この間などは「其後そのご別に恋着れんちゃくせる婦人も無之これなく、いずかたより艶書えんしょも参らず、ず無事に消光まかり在りそろ間、乍憚はばかりながら御休心可被下候くださるべくそろ
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いくら「候間」や「候段」や「乍憚はばかりながら御休神下され度」でこじつけていっても、どうにもこうにも、いかなくなってきた。
水の三日 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もし御都合よろしく候はゞ、十日か十一日頃、乍憚はばかりながら御来臨下され度希上ねがいあげ候。此度の風しつこくこまり候。早々。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
別紙御銘々様へは、乍憚はばかりながら御三君より御礼可然しかるべく御風語被成下度、此段貴答迄如此かくのごとくに御座候。頓首謹言。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
拝啓柳暗花明りゅうあんかめいの好時節と相成候処いよいよ御壮健奉賀がしたてまつりそうろう。小生も不相変あいかわらず頑強がんきょう小夜さよも息災に候えば、乍憚はばかりながら御休神可被下くださるべくそうろう
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)