之等これら)” の例文
之等これらは皆、恋愛の感情ではないか。これらの感情と全く違って、異性間に於いて「愛する」というまた特別の感情があるのであろうか。
チャンス (新字新仮名) / 太宰治(著)
時には又女匪自身が大家公館に夫々それぞれ伝手つてを求めて入り込み凄い腕を振うこともある。之等これらの女匪を女子郎中じょしろうちゅうという。
煩雜と抵抗の刺戟から逃れて温泉地へでも行けと云つた。之等これらの默止すべからざる温情が亨一のすさんだ心にうるほひを與へた。三月の初めに東京を逃れて此地に來た。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
聖徳太子が「日出処ひいづるところの天子」と書かれた国体精神が、北畠親房の「大日本は神国なり」の神皇正統記となり、而して之等これらの学者に正しく承け継がれてゐたのである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
筆者は之等これらの人々を個人的に知らず、知る限りに於て彼等と全部的に思想を同じくするものではない。然しファッシズムに対抗する一点に於ては、彼等は吾々の老いたる同志である。
二・二六事件に就て (新字新仮名) / 河合栄治郎(著)
二三年の内に見違へる様に美しくなつた之等これらの女連を見比べて居た此女の主人は
若芽 (新字旧仮名) / 島田清次郎(著)
女は女自身にあっても之等これらの凝視の世界が、果してどれだけまでが想像であるか、幻覚であるか、または一種の透視的な夢幻界を彷徨ほうこうしたものであるかという区別を判明はっきりすることができなかった。
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
之等これらたん弄古的ろうこてき採集家さいしふかなるのみ、珍世界ちんせかい主人しゆじんたるのみ。
之等これらがその原因のようである。
章魚木の下で (新字新仮名) / 中島敦(著)
まずざっと二十冊ちかい之等これらの参考書を九日までに一とおり読んでみるつもりだ。それから、英語と仏蘭西フランス語の単語も、少し詰め込んで置きたい。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
煩雑と抵抗の刺激から逃れて温泉地へでも行けと云つた。之等これらの黙止すべからざる温情が亨一のすさんだ心にうるおひを与へた。三月の初めに東京を逃れて此地に来た。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
この跳老虫でも決してタダでは返さない。之等これら娼女が働く金は多い時は一日十数元にも上る。
されど、之等これらは要するに皆かれの末技にして、真に欽慕きんぼすべきは、かれの天稟てんぴんの楽才と、刻苦精進してはやく鬱然一家をなし、世の名利をよそにその志す道に悠々自適せし生涯とに他ならぬ。
盲人独笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)