丸絎まるぐけ)” の例文
這入はいって来る。白木綿の着物に同じ丸絎まるぐけの帯をしめて、上から蚊帳かやのようにあら法衣ころもを羽織って、すこぶる気楽に見える小坊主であった。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弁慶格子べんけいごうしの広袖に丸絎まるぐけの帯を前に結び、五十貫もある鉄棒を軽々とげたその姿は可笑おかもあれば凄くもある。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と云いながらそばにあった丸絎まるぐけを取って海禪坊主をぐる/\巻に縛るから
身にまとった濛気もうきを払い落とし、スックとばかり立ち上がったが、見れば月代さかやき長く延び百日かずらかぶりし如く、墨染すみぞめの布子、丸絎まるぐけの帯、鏈帷子くさりかたびら肌に纏い、顔面長おもながく色蒼く
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白の練絹の寝衣を着、同じ丸絎まるぐけの帯を結びその身長たけ高く八尺を越え、頭髪はさながら白銀の如く、延びに延び生えに生え、たてがみのよう背を蔽い、まさにきびすに達しようとしている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)