中心なかご)” の例文
正宗相伝の銀河にまが大湾おおのだれに、火焔鋩子ぼうしの返りが切先きっさき長く垂れて水気みずけしたたるよう……中心なかごに「建武五年。於肥州平戸ひしゅうひらとにおいて作之これをつくる盛広もりひろ
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
やまいを得るまえに最近仕上げた陣太刀づくりの大小を手にとり赤銅にむら雲のほりをした刀の柄をはずして、その中心なかごに後半の火密かみつを巻きこめ
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いちど火をかぶって焼直したものらしい、それでこの中心なかごがただれているんです、ただれてはいるが、この中心のざくっとした品のよさ、これは新刀にはない味ですから
末っ子 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
槍の中心なかごに、紐をつけて射込んだのですよ、昔々、石弓(いしゆみ)といふものを戰の時使つたといふが、板に弓を留めて射ると、かなりの重いものでも、狙ひ違はず遠くへ射込める
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
(但し中心なかごの銘及形。)
荒砥あらとにかけて曲りをなおし、中心なかごにかかって一度砥屋とぎやに渡し、白研しらとぎまでしたのを、こんどはやすりを入れて中心を作る。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「いい刀身かたなだよ。とぎは悪いがシャンとしている。中心なかご磨上すりあげらしいが、しかし鑑定には骨が折れるぞコイツは……」
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こんどは鞘をはらって入念にうち返しを眺め、それから目釘を抜いて中心なかごをしらべた。
末っ子 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
穗先から中心なかごの端までザツと二尺五六寸、柄から拔いたまゝ蔀の隙間から射込んだもので、射込んだと思ふと、槍の穗は獨りでに、元の欄間へスルスルと引上げられて行くのです。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
なほ刀の中心なかごに刻みし歌は、わが詠みしものを下の村の鍬鍛冶くはかぢに賃して刻ませしもの也。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
穂先から中心なかごの端までザッと二尺五六寸、柄から抜いたまま蔀の隙間から射込いこんだもので、射込んだと思うと、槍の穂はひとりでに、元の欄間へスルスルと引上げられていくのです。
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
水火の奥ゆるしが割符わりふとなって夜泣きの大小の中心なかごに巻き納めてあるということを認めた、やすり箱の中の孫六の別札真筆べっさつしんぴつも、とうとう見出される機とてもなく、古今の貴法きほうのうえに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
内儀おかみさんが離屋の床下に入れて、生命いのちがけで守っていた一万両の隠し場所をぎつけ、母家の二階に戸板に仕掛けた弓を持ち込み、槍の中心なかごに、紐をつけて射込んだのですよ、昔々
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
二尺三寸ばかりの刀の中心なかごに彫った文字を庭先の夕明りに透かしてみた。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
よく見ると、それは、大身の槍の中心なかごだけでした。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
よく見ると、それは、大身の槍の中心なかごだけでした。
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)