下野守しもつけのかみ)” の例文
小僧はすぐに青山下野守しもつけのかみ屋敷の辻番所へ訴えると、辻番の者もふだんから小僧の顔を識っているので、現場まで一緒に来てくれた。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
玳瑁たいまいの櫛を出して問い詰めると、辰はすぐさま頭を掻いて、じつは誠に申訳ないが、年の暮れのある晩稼業しょうばい帰途かえりに、筋交すじかい御門の青山下野守しもつけのかみ様の邸横で拾ったのだが
おんちゝ下野守しもつけのかみ久政公も御存生でいらっしゃいまして、とかくお父子の間柄がよくないと申す噂もござりましたけれど、それももと/\は久政公がお悪いのだと申すことで
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三三あまさへ去年こぞの秋、三四京家の下知として、三五美濃の国郡上ぐじやうぬし三六とう下野守しもつけのかみ常縁つねより三七御旗みはたびて、三八下野の領所しるところにくだり、氏族しぞく三九千葉ちば実胤さねたねとはかりて四〇むるにより
その区域に立っている大名屋敷といえば、酒井若狭守わかさのかみ、松平左衛門尉さえもんのじょう、青山下野守しもつけのかみ、土井能登守のとのかみ、——といったような人々の屋敷屋敷で、その間に定火消じょうびけしの番所もあれば、町家も無数に立っている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
黒書院溜くろしょいんだまりで老中列座の上、大目附稲生下野守しもつけのかみから書附をもって
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)