下民げみん)” の例文
しかるに南蛮宗は一切の施物せもつを受けず、かえつてこれほどこして下民げみん……いや人民の甘心を買ひ、わが一党の邪魔をすることもっとも奇怪なり。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
出さぬと、ぶった斬るぞ。今もいった通り、張角良師のご好物だが、良師のご威勢でさえ、めったに手にはいらぬ程の物だ。貴様のような下民げみんなどが、茶を
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思返えせば二十歳はたちの頃ふと芝居がえり或夜あるよ野暮な屋敷の大小の重きを覚え、御奉公の束縛なき下民げみんの気楽をうらやみいつとしもなく身をそのむれに投じてここに早くも幾十年。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「早く! 早く穴のほうへまわって、あの下民げみんどもを追っぱらってしまえ」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「こらっ、下民げみんども、都から流されて来た流人るにんの小屋を、さように、手入れいたしたり、立ち寄ってはならん」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「は。御意遊ばすのは、あの下民げみんどもの寄る盛り場の儀で」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)