下様しもざま)” の例文
旧字:下樣
喧嘩の片われは、下様しもざま雑人ぞうにんだと見えて、言葉つきにどことなく自ら卑下したところがあった。他の一人がすぐ後を引取った。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
「ははあさようでござりましたか。いや都の上﨟じょうろう方には下様しもざまのことが珍らしくあるいはそうかも知れませぬ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まして九つより『栄華えいが』や『源氏げんじ』手にのみ致し候少女は、大きく成りてもます/\王朝の御代みよなつかしく、下様しもざま下司げすばり候ことのみつづり候今時いまどきの読物をあさましと思ひ候ほどなれば
ひらきぶみ (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「あなたはルウズヴエルトさんの坊ちやんぢやありませんか。そんな下様しもざまの子供達と一緒に遊ぶものぢやありません。阿父様おとうさまに叱られますよ。」
下様しもざまから見れば将軍家などの行状、出るにも入るにも大袈裟一方、正視などしたら眼が潰れると、それくらいに思っているであろうが、真の私的の、真の裏の、お生活くらし振りというものは
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
故人ルウズヴエルトの沢山どつさりある子供の一人が——誰だつたか名前は一寸思ひ出せないが——幼い頃公園のかげで下様しもざまの身なりの汚い子供達と一緒に遊んでゐた事があつた。
阿父おとうさまは平素ふだん言つてらつしやらあ。子供には背の高いのと低いのと、お悧巧なのと意地悪なのとがあるばかしだつて。下様しもざまの子供だなんて、そんなのがあるもんかい。」