一服いっぷく)” の例文
ピースの豪球左腕投手一服いっぷくクンが嫉いてね。なぜ、あんな小僧を相手にするんだ。なんて、つめよるのよ。小僧なんて、何云うのよ。
投手殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
昔と今とは違うが、今だって信州と名古屋とか、東京と北京ペキンとかの間でこの手で謀られたなら、慾気満〻よくけまんまんの者は一服いっぷく頂戴せぬとは限るまい。片鎧の金八はちょっとおもしろいはなしだ。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「さあ、みんな、いけ。わしは親方おやかただから、ここで一服いっぷくすいながらまっている。」
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ずかずか山のすそを、穿りかけていたそうでありますが、小児こどもが呼びに来たについて、一服いっぷくるべいかで、もう一鍬ひとくわ、すとんと入れると、急に土がやわらかく、ずぶずぶとぐるみにむぐずり込んだで。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うさぎのお母さんははこから万能散まんのうさん一服いっぷく出してホモイにわたして
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)