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とうじゅす
服装は、
将棊の
駒を大形に散らしたる紺縮みの
浴衣に、
唐繻子と
繻珍の昼夜帯をばゆるく引っ掛けに結びて、空色
縮緬の
蹴出しを
微露し、素足に
吾妻下駄
朝飯と
午餉とを一つに片付けたる
兼吉が、
浴衣脱捨てて引つ掛くる衣は
紺にあめ入の
明石、
唐繻子の丸帯うるささうに
締め
畢り、
何処かけんのある顔の
眉蹙めて
今日は洗い髪の
櫛巻で、
節米の
鼠縞の着物に、
唐繻子と
更紗縮緬の昼夜帯、羽織が
藍納戸の薩摩筋のお
召という
飾し込みで、宿の女中が
菎蒻島あたりと見たのも無理ではない。