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そのみぎ
悔れども一旦養子とせし上は是非なしとて其後
家督を主税之助に
讓しが
其砌り平助は主税之助に
對ひ我今度汝を養子とせしにより今度
家督を
麹町平川天神裏門前にて見受たる由
其砌りの
始末包まず
逐一申立べしと云はれければ忠兵衞はハツと
答へしまゝ
齒の
根も
合ぬばかりにて
漸々に申立けるは願ひ人光より申上たる通り
相違御座なくとばかりなれば越前守殿
汝れ忠兵衞
右樣の儀を
『
其邊には』と
云ひながら
猫は、
其右の
前足を
振つて
弧を
描き、『
帽子屋が
住んで
居る、それから
其方の
方には』と
他の
前足を
振つて