-
トップ
>
-
ぜね
おとつゝあ
等そんな
錢なんざ
一錢だつて
持つてねえから、
鹽だつて
容易なもんぢやねえや、そんな
餘計なもの
何になるもんぢやねえ
汝こと
奉公にやれば
其の
錢で
俺ら
借金も
無くなるし、よきことだつて
輕業師げでも
出しつちめえばそれこそ
樂になつちあんだが
「さうだとも、
錢でも
何でも
呉んなけりや、よこせつちばえゝんだ、
錢ねえなんちへば
米でも
麥でも
奪取つてやれ」
爺さんは
周圍へ
唾を
飛ばした。