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せりあが
壇の
上口に
気勢がすると、
潰しの島田が
糶上ったように、
欄干隠れに、
少いのが
密と
覗込んで
この景色に舞台が
換って、雪の下から
鴛鴦の精霊が、鬼火をちらちらと燃しながら、すっと
糶上ったようにね、お前さん……唯今の、その二人の
婦が、
私の目に映りました。
獨りで
苦笑ひして、
迫上つた
橋掛りを
練るやうに、
谿川に
臨むが
如く、
池の
周圍を
欄干づたひ。
みし/\と
段階子を
上つて来るのが、底の知れない天井の下を、
穴倉から
迫上つて来るやうで、ぱつぱつと
呼吸を吹く
状に、十能の火が真赤な脈を打つた……
冷な風が
舞込むので。