-
トップ
>
-
じじつだん
裸形にしてただ腰のまわりに、草の葉を
纏うていたとある。
山姥の話の通りであるが、しかも当時の
事実譚であった。
で、普通の日本人の
考慮から云うと、殺した方の人が化けて出るというのは、
些と理屈に合わぬように
聞えるが、何分にも
其処が怪談、万事不可思議の所が
事実譚の
価値であろう。
矢張男が
恋しく、
其学生が
田舎から
細君を
連れて
来るまで
附纏つたと
云ふだけの、
事実談に
過ぎぬのであるが、
文を
脊負揚に
仕舞つて
置いた一
事が、
何となく
私の
記憶に
遺つてゐる。