-
トップ
>
-
しよぢ
運らしけるに平左衞門が金子を
所持なす事を
豫て知りければ或夜安間が宅へ忍入
箪笥の錠をこぢあけ二百兩の金を
盜み取其儘屋敷を
市日には
遠近の村々より男女をいはず
所持のちゞみに
名所を
記したる
紙簽をつけて市場に持より、その
品を
買人に見せて
売買の
直段定れば
鑑符をわたし、その日市はてゝ
金に
換ふ。
金兵衛手に取つて見ますると、
遠州所持の
南蛮砂張の
建水でございます。
して
置女が
暮の十三日に百兩の金を貰ひて
種々品物を求めたりと申すではないか其の百兩の金子は
如何して
所持せしや主人の金を
しても此方には
聢とした證據があるぞ是其方
所持の
煙草入が其場に落して有しなり夫を見よと
投出されしに富右衞門は是を