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しゆくば
宿場と
唱る
所は家の
前に
庇を長くのばして
架る、大小の
人家すべてかくのごとし。雪中はさら也、平日も
往来とす。これによりて雪中の
街は用なきが如くなれば、人家の雪をこゝに
積。
見て其
嬋妍さにほく/\悦び
在郷育ちの娘なれば
漸々宿場の
飯盛か吉原ならば
小格子の
僅か二十か三十の金を得るのが
關の山と
陰踏をして置たるが少しばかり手を
急ぐ程に
頓て
宿場共思はるゝ所へ出し頃は夜は
白々と
明放れ往來の旅人も多く有ければ兩人は
漸々心落付初めて勞れを覺え
先づ此邊にて
一息繼んと茶見世に立寄て腰を掛ければ茶店の
親父は茶を