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しやうじき
これは
多分あのペンペの
噂に
違ひない。すると
元気で
正直なペンペも
死んでしまつたのか。
初音町といへば
床しけれど、
世をうぐひすの
貧乏町ぞかし、
正直安兵衛とて
神は
此頭に
宿り
給ふべき
大藥罐の
額ぎはぴかぴかとして、これを
目印に
田町より
菊坂あたりへかけて
「そりや然うだとも!………世の苦勞があるから、
偶時にア亡くなツた人のことも思はないじやないけども
正直家作でも少しあツたら、此うしてゐた方が幾ら氣
樂だか知れやしない。」