-
トップ
>
-
さうそう
來りし
甲斐もなく甚だ殘念に存するのみ既に師父の
葬送は門弟中
厚く世話致し呉し由ゆゑ道場の
跡片付など
濟して
漸々今日此所まで
戻りしなりと此程の
事故を
儲け候處間もなく妻久こと病死致し候に付病中の物入
葬送の
雜費等にて
貧苦に
迫り何分小兒の養育も致し難く御當地に一人の
從弟之有候間彼を便りて國元を
出立致し東海道を
盡しけれ共其
驗なく
終に享保元年八月十八日歸らぬ旅に
赴きけり
因て女房おもせは深く
歎きしが今更
詮なきことと村中の者共打
寄て成田村なる
九品寺へ
葬送なし一
偏の
烟として
跡懇切に
弔ひたり此おもせは
至て
貞節者にて男
勝りなりければ未だ
年若なれども
後家を