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ごとうりう
得し上
此方より申上べし
先夫れ迄は
當表に
御逗留緩々御遊覽有べき樣
言上せらるべし
御證據の品々は
先御納下さるべしと伊賀亮へ
返しぬ是より種々
饗應に及び其日の八つ
過に
御歸館を
窺がへば折節本陣より
侍ひ一人出來りぬれば
進み寄て天一坊樣には明日は
御逗留なるや又は
御發駕に相成やと問けるに彼の侍ひ答て天一坊樣には明日は
當所に御逗留の積なりとぞ答へたり
是は伊賀亮が兼ての
工にて若も酒井家より明日の
出立を
出す者なし此時
末座より一人の
老人進み出で
憚りながら御役人樣方へ申上ます私しは當村の
草分百姓にて善兵衞と申す者なるが
當時此村は高廿八石にて百
姓二十二軒ある
甚だ
困窮の村方なれば
斯御大勢長く
御逗留有ては必死と
難澁に及ぶべし澤の井の一
條さへ相分り申せば
早速當村を