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いちみゃく
静かなる事
定って、静かなるうちに、わが
一脈の命を
託すると知った時、この
大乾坤のいずくにか
通う、わが血潮は、
粛々と動くにもかかわらず、音なくして
寂定裏に
形骸を
土木視して
頭巾黒く、
外套黒く、
面を
蔽ひ、
身躰を包みて、長靴を
穿ちたるが、
纔に
頭を動かして、
屹とその感謝状に眼を注ぎつ。
濃かなる
一脈の煙は
渠の
唇辺を
籠めて
渦巻きつつ
葉巻の
薫高かりけり。
新九郎は眉間に
一脉の青い凄味を
湛えて