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あらいざら
鳳仙花の咲いた処でぬっと出て来たのは玄関番、
洗晒した筒袖の浴衣に、白地棒縞の袴を穿いた、
見知越の書生で
外の
椽側に置いた
手燭の
燈が暗い庭を
斜に照らしているその
木犀の樹の
傍に
洗晒しの
浴衣を着た一人の老婆が立っていたのだ、顔色は
真蒼で頬は
瘠け、眼は窪み
壁際や、
暖炉の
周辺には
病院のさまざまの
雑具、
古寐台、
汚れた
病院服、ぼろぼろの
股引下、
青い
縞の
洗浚しのシャツ、
破れた
古靴と
云ったような
物が、ごたくさと、
山のように
積み
重ねられて